運搬作業の安全性と製品の品質向上をめざし無人フォークリフトを導入

無人フォークリフト 自動車用特殊フィルターの製造工場

運搬作業の安全性と製品の品質向上をめざし無人フォークリフトを導入

お客様について

阿波製紙株式会社 徳島事業所 小松島工場さま
所在地:徳島県小松島市和田島町字松田新田91

1916年に徳島県内初の機械すき和紙メーカーとして設立以来、一般洋紙、特殊加工紙、機械材料にも進出し、昨年、創業100周年を迎えた阿波製紙。現在の同社の主力商品は自動車部品用のろ紙と摩擦材、水処理用の逆浸透膜支持体紙の3本柱。小松島工場では自動車用エアクリーナやオイルエレメントの特殊加工(フェノール樹脂加工)に特化し、国内大手自動車メーカーのオーダーに応じて、24時間体制で生産・出荷している。トータルで年間2,400トンの生産量は業界ナンバー1を誇る。

阿波製紙株式会社 徳島事業所 小松島工場さま

お客様からの声

今回、無人フォークリフトの導入を担当された上坂参事にお話を伺いました。

リフト以外でも誠意ある対応が
ポイントだった

従来は樹脂加工したロール紙を一時保管するのに作業員がクランプ付フォークリフトで運搬していました。ただ、当社の紙というのは柔らかくて油圧のクランプで掴むとどうしても変形して楕円形になりがちです。すると仕上げ時のワインダー(巻取機)のテンションもふらつき、ひいては製品の品質にも影響します。お客さまからクレームがあったわけではないのですが、やはり仕上げ後の製品巻取断面が、張力の安定により平滑な状態で出荷したいという意向もあって、新しいワインダーを導入するのに伴い、運搬面でも何かいいアイデアはないかと思いあぐねていました。

AGFよりも台車で頭を悩ます

2014年の末頃にニチユ三菱さんからAGF(無人フォークリフト)のご提案をいただいた時、「これなら我々の希望が叶えられそうだ」と導入を検討しましたが、一つだけ困った問題がありました。それはロール紙を台車に乗せる時、既製パレットでは径が合わず、ロール紙の自重で紙が変形してしまうことでした。

小松島工場 参事 上坂 行雄さま
小松島工場 参事
上坂うえさか 行雄ゆきおさま

そもそも当社はそれまで他社のフォークリフトを使っていてニチユ三菱さんとはあまりお付き合いがなかったんです。ご縁が始まったのはリフトじゃなくて原紙や樹脂加工紙の紙管ラックの製作をお願いしてからです。「リフト以外でも一生懸命取り組んでくれるニチユ三菱さんなら」と台車も含めて相談をしました。

一緒に考えた台車でコストダウンも達成

ニチユ三菱さんと何度も協議を重ね、さまざまな形状の試作品をご提案いただき、1年後の試作4号目でようやくV字型改良パレット台車が完成しました。オーダーパレットで当然値段も高くなりますが、実際に使ってみると、従来だと5枚以上の上巻きを産業廃棄物として処理していたのが1枚だけになり、月80万円のコストダウンにつながったことは大きかったですね。

台車が完成して、昨年8月にいよいよAGFの導入となったわけですが、AGFに関しては問題なく稼働してくれました。AGF導入のメリットは、それまでのクランプリフト作業のようにロール紙を傷つけてしまう運搬トラブルがゼロになったことです。同時にその人手を樹脂加工に回すことによって製品の品質向上につながったことは間違いありません。

「AGFは売りますが専門外の台車は無理です」と言われていたら、こっちも「もっと協力してくれるところを」となりますが、本当に根気よくお付き合いくださいました。本来のビジネスを1年も引っ張ったわけですからね(笑)。

有人兼用型のAGFを選んだのは、もしものための保険でしたが、まず有人で動かすことはありません。無人搬送でトラブルがないですから。むしろ、老朽化した他社のリフトの代わりにリーチを1台導入しました。1台より2台の方がメンテナンスに来やすいだろうと(笑)。

将来は、他工場の原紙もここに準じた形で運搬して欲しいと思っています。せっかく当工場でAGFに切り替えても他工場でクランプリフトで運搬していてはトータルの品質効果が薄れますからね。

注目特製パレット台車

ロール紙といっても700㎏を超える自重がありますから、その接地面の圧力を分散するには計算され尽くしたパレット形状が必要です。既製品では間に合わず、ニチユ三菱さんと何度もやり取りしながら、最終的に1年かけてV字型を改良したオリジナルのパレット台車を製作しました。

特製パレット台車

ソリューションのポイント

課題 ロール紙の品質向上が
課題に

従来、作業員がクランプ付フォークリフトでロール紙を運搬していましたが、紙を傷つけてしまうトラブルが発生していました。同時に、製品の品質向上に向け新しいワインダーを導入したこともあり、運搬システムの改善が迫られていました。

ロール紙の品質向上が課題に

検討 ロール紙の専用パレット台車と自動搬送を検討

ニチユ三菱さんからご提案をいただきAGF導入を検討しましたが、当社のロール紙に適合するパレット台車がなく、ニチユ三菱さんと何度も協議を重ねながら共同開発を進め、1年後にようやく満足のいくオリジナルパレットが完成しました。

ロール紙の専用パレット台車と自動搬送を検討

効果 トラブルもなく製品の品質も全体的に向上

AGF本体は我々の期待通りに大きなトラブルもなく稼働してくれ、製品運搬時の安全性が格段に向上しました。また、それまでの運搬作業員を樹脂加工現場に異動することによって機械チェックの頻度が高まり、製品の品質向上にもつながりました。

トラブルもなく製品の品質も全体的に向上

始まりはオリジナルの紙管ラック

他社に依頼したところあまりいい返事をもらえず、たまたま訪問されていたニチユ三菱の営業さんに相談したら「やります!」となって、いろいろな試作を経て最終的にこちらの要望通りのものを作っていただきました。

始まりはオリジナルの紙管ラック
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夜間の運搬作業の安全性が高まった

ボタン一つで全てやってくれるので今までのクランプリフト搬送を考えるとはるかに楽です。また、以前は大きな事故には至らなかったものの、暗い中での作業でしたので、ヒヤリとしたことも。AGFを導入後、それが無くなりました。

 
夜間の運搬作業の安全性が高まった

ラック採用で工場が広く、
見通しもよくなった

ラックはAGFと同時に導入しました。以前は紙管の上に発砲スチロールを並べて、その上に製品を置いていましたが、その手間が無くなる3段ラックを採用。空間を有効利用でき、結果として工場内が広くなり、見通しもよくなりました。

 
ラック採用で工場が広く、見通しもよくなった

歩留まり率が毎月のように向上

歩留まり率が上がっています。新しいワインダーの効果もありますが、ここ数か月は業務課の目標を超える月が出てきています。歩留まり率が1%上がるだけでも利益増収につながるのは間違いありません。

 
歩留まり率が毎月のように向上