Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.

三菱ロジスネクストを知る

先端技術による安心・安全な 物流機器の実現

Story1 先端技術による安心・安全な物流機器の実現

フォークリフトによる運転者や周囲の作業者の労働災害事故は後を絶たず、フォークリフト作業に起因する事故件数は年間約2,000件、死亡事故は20件から30件前後という高い水準で推移しています。運転者の安全確認不足による衝突事故や発進時の巻き込み事故も珍しくなく、安全な作業環境の実現が求められています。
当社では、ハード面ではAIなど先進技術を活用した安全支援システムや、実績とノウハウに基づく各種安全機能を車両に搭載しているほか、ソフト面では安全講習会や安全ツールの提供などの安全啓発活動を行っています。フォークリフトによる災害事故撲滅を心から願い、お客様の安全な作業環境づくりに貢献します。

フォークリフトに起因する
災害発生件数の推移

フォークリフトに起因する災害発生件数の推移

取り組み

「ALESIS」の新オプション「S‐Assist(エスアシスト)」
走行操作によるストレスを軽減し安全な作業環境を実現する製品の開発、提供

「あらゆる操作が安全にできる」「誰もが簡単に操作できる」をコンセプトに安心・安全にこだわり抜いた製品を提供しています。2022年にカウンターバランス型バッテリーフォークリフト「ALESIS(アレシス)」の新たなオプションとして、オペレーターの走行操作を快適・安全にサポートする新たなオプション「S‐Assist」を発売しました。
セールスポイントは2点「①坂道停止アシスト」「②速度キープアシスト」です。坂道停止アシストはアクセルとブレーキの踏み換え時の車両のずり下がりを防止し、楽で安全なスロープでの発進に貢献しています。
また、速度キープアシストはアクセルを軽く踏むだけで一定速度を維持し走行できる当社オリジナルの機能で「アクセル操作に気を取られず、周囲確認にも集中できるので、とてもいい」とのお客様からの声もいただいています。

走行サポートのイメージ
走行サポートのイメージ

誰もが使いやすい安心・安全なフォークリフトの開発を目指して

私はALESISの制御ソフト開発を担当しています。本プロジェクトにおける私の役割は、S-Assistの制御開発でした。ALESISは既に発売済みの機種であり、走行制御を大幅に変更すると、お客様の作業に支障をきたす可能性がありました。そのため、可能な限り「走りやすさ」を維持したまま、アシスト機能を追加する制御方法を考案しました。
S-Assistを使っていただいたお客さまからは、「従来車の操作性に比べて、S-Assistを搭載した車は使いやすい」との評価をいただくことができ、手ごたえを感じています。今後は、他のバッテリー車にもS-Assist機能を追加していく予定です。また、衝突防止機能など新たなアシスト機能の開発にも取り組んでいきます。

技術本部 技術開発部 コンポーネント技術課 主席 仲田 真基

技術本部 技術開発部
コンポーネント技術課 主席
仲田 真基(2024年4月現在)

※インタビュー内容、役職、所属は取材当時のものです。

車両の死角をカバーし減速・停止・発進を抑制するオプション
AI 人検知システム「OmniEye(オムニアイ)®+回生ブレーキ制御」を開発

レグラス社が開発した「OmniEye」は、AIによる人検知機能を有し、車両に取り付けた前後2台のカメラが周囲の作業者を検知し警告を発することで衝突事故を未然に防ぐオプション装置です。当社は、バッテリー式フォークリフトALESIS(アレシス)専用の特殊仕様装備として、回生ブレーキ制御を搭載した車輛をレグラス社の協力のもと開発しました。
これにより警告だけでなく、人を検知すると回生ブレーキが作動し遠距離では減速、近距離になると停車、さらに発進を抑制することで衝突事故防止をサポートできるようになりました。

  • OmniEye®は株式会社レグラスの商標登録です。
減速・停止のイメージ
減速・停止のイメージ

事故対策に関するお客様の声が商品化のきっかけに

本件に携わったきっかけは、フォークリフト周辺の作業者巻き込まれ事故の防止対策について営業先のお客様から相談を受けたことでした。人検知カメラOmniEye®が“人”を検知すると連動して自動停止するフォークリフトを社内関係部署と製作し、お客様の現場で繰り返し実証させていただきました。なかでも一番苦労した点は、人検知後に急停止することなく安全に自動停止できる回生ブレーキのフィーリングを探ることでした。
2023年秋の国際イベントで初お披露目し、その後はお客様からのお問合せや出張デモンストレーションの依頼が急増しました。本装置の評価も高く、事故撲滅に貢献できるものと感じています。今後もフォークリフト事故対策に対する弊社へのご期待を短期間で商品化する取り組みを続け、安心・安全な商品をお届けすることで“三菱ロジスネクストファン”のご期待にお応えしたいと思います。

国内営業本部 特販部 主任 疋田 友希

国内営業本部 特販部 主任
疋田 友希(2024年4月現在)

※インタビュー内容、役職、所属は取材当時のものです。

現場の声を聞き、お客様の期待を超える仕様を設計

私は本プロジェクトで電装品の設計とソフトウェアの開発を担当しました。普段からお客様の現場に合わせた安全機能の製作といった特殊仕様の設計業務を行っており、このプロジェクトに携わることになりました。
AIカメラおよび人検知システムのフォークリフトへの搭載において、最も課題となったのは現場の安全性と作業性を両立させることでした。お客様の現場を訪問し、「現場の生の声」を聞かせていただく中で、回生ブレーキの最適なフィーリングが鍵になると気づきました。最終的には当初のご要望であった近距離での停止だけではなく、遠距離での減速機能を追加することで最適なフィーリング制御を実現できたと自負しています。今後も先進技術を取り入れながら、お客様と共に現場の問題解決に尽力していきたいです。

技術本部 生産設計部 フォークリフトカスタム設計課 朴 康太

技術本部 生産設計部
フォークリフトカスタム設計課
朴 康太(2024年4月現在)

※インタビュー内容、役職、所属は取材当時のものです。